VIX(恐怖指数)とは — 数字の中身と、実際の使い方

「恐怖指数」という通称は誤解を招く。VIXが測っているのは方向ではなく、振幅の値段だ。

18.7
直近のVIX(2026-07-23)
19
1990年以降の長期平均
82.7
史上最高終値(2020-03-16)

VIXが実際に測っているもの

CBOE VIXは、S&P 500のオプション価格から逆算した今後30日間の年率換算予想ボラティリティである。株価の方向はまったく織り込まれていない — 上に30%動く可能性と下に30%動く可能性を、VIXは区別しない。「恐怖指数」という通称が定着したのは、実際には下落局面でしか予想ボラティリティが急騰しないからだ。上昇相場は静かに進む。

換算の目安として、VIXを√252(約15.9)で割ると1日あたりの予想変動幅になる。VIX 20は日次±1.26%、VIX 40なら±2.5%。この一手間だけで、VIXは抽象的な指数から実感のある数字に変わる。

水準の読み方 — 1990年以降の分布

史上最高終値は2020-03-16の82.7(コロナショック)で、2008年11月20日の80.86がそれに次ぐ。20を下回る日が3分の2を占めるという事実が重要だ — 平常状態は「静か」であって、警戒は例外的な状態である

平均回帰 — VIXの最も重要な性質

株価指数と違い、VIXは長期的にどこにも行かない。上限と下限があり、必ず平均19前後に戻ってくる。だから「VIXが極端に高いときに株を買う」という逆張りは、方向としては歴史的に正しい。ただしタイミングは絶望的に難しい。2008年9月にVIX 40を「もう十分パニックだ」と判断して買った投資家は、その2か月後に80を見ることになった。高いVIXは底の必要条件だが、十分条件ではない

VIXを「買う」ことの構造的な罠

VIX自体は取引できない。取引できるのはVIX先物と、それを毎月転がすETP(VXXなど)である。ここに設計上の問題がある:VIX先物カーブは平常時コンタンゴ(期先が期近より高い)で、ロールのたびに高く買って安く売ることになる。結果としてVXX型の商品は長期保有すると価値が構造的に減り続ける。VIX ETPは短期の保険としてのみ機能する商品であり、恒久的なヘッジにはならない

実務的な使い方

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